ChatGPTやClaude Code、画像生成AIなどの登場によって、個人でもゲームを開発しやすい時代になりました。以前はプログラミングやイラスト制作など、さまざまな技術が必要だったゲーム開発ですが、現在ではAIを活用してコードを書いたり、キャラクターや背景を制作したりできます。
そこで気になるのが、「AIを使って作ったゲームは、実際に販売してもよいのか?」という疑問です。
例えば、次のようなケースが考えられます。
- ChatGPTにプログラムを書いてもらったゲーム
- Claude CodeやCodexを使って開発したゲーム
- AIで生成したキャラクターや背景を使用したゲーム
- AIで作成した音楽や効果音を使用したゲーム
- ゲーム内でAIが会話やコンテンツを生成するゲーム
これらのゲームは、Steamやitch.ioなどで販売できるのでしょうか?
この記事では、2026年10月時点の公式ルールをもとに、AIゲームの販売条件、商用利用、著作権、販売前に確認したいポイントを初心者向けに解説します。
AIで作ったゲームは販売できるのか?
結論からいうと、AIを利用して開発したゲームでも販売することは可能です。AIを使用したという理由だけで、すべてのゲームが販売禁止になるわけではありません。
例えば、AIにC#のコードを生成してもらい、Unityでゲームを開発する方法もあります。また、AIでキャラクターや背景を生成し、それらを使用してゲームを制作することもできます。
ただし、AIを使用していれば何でも自由に販売できるわけではありません。
特に重要なのは、次の3点です。
- 使用したAIツールの商用利用条件を守っているか
- ゲームに含まれる素材が他人の権利を侵害していないか
- 販売するプラットフォームのルールに従っているか
Steamやitch.ioでは、AI生成コンテンツに関するルールが設けられています。販売を考えている場合は、ゲームが完成してからではなく、制作を始める段階で確認しておくことをおすすめします。
SteamでAIゲームを販売する場合のルール
Steamは、PCゲームを販売するための代表的なプラットフォームです。個人開発者が制作したインディーゲームも数多く公開されています。
Steamでは、AI生成コンテンツを使用したゲームの販売が一律に禁止されているわけではありません。ただし、ゲームにどのようなAI生成コンテンツが含まれているのか、適切に申告する必要があります。
Steamの公式ドキュメントでは、AI生成コンテンツを主に2種類に分けています。
1. 開発中にAIで生成したコンテンツ
英語では「Pre-Generated AI Content」と呼ばれます。これは、ゲーム開発中にAIで制作し、完成したゲームに組み込むコンテンツです。
例えば、以下のようなものがあります。
- AIで作成したキャラクター画像
- AIで生成した背景イラスト
- AIで制作した音楽や効果音
- AIで作成したストーリーや会話文
- AIによって生成した翻訳テキスト
このようなコンテンツをゲームに使用する場合、SteamのContent Surveyで適切に申告する必要があります。
また、ゲームの内容が法律に違反していないことや、他人の権利を侵害していないことも重要です。AIで生成した素材であっても、通常のゲーム素材と同じように確認が必要になります。
2. ゲーム実行中にAIが生成するコンテンツ
こちらは「Live-Generated AI Content」と呼ばれます。ゲームをプレイしている最中に、AIが新しい文章や会話などを生成する仕組みです。
具体例としては、次のようなゲームが考えられます。
- AIキャラクターと自由に会話できるゲーム
- プレイヤーの入力によってAIがストーリーを生成するゲーム
- AIがその場でゲーム内の文章を作成するゲーム
こうしたゲームでは、通常のAI生成コンテンツに関する条件に加えて、AIが違法なコンテンツを生成しないための安全対策についても説明する必要があります。
ゲーム内でAIを動作させる仕組みを導入する場合は、外部AIサービスの利用料金やインターネット接続など、運営面の問題も考える必要があります。
AIにプログラムを書いてもらった場合は?
ここで気になるのが、ChatGPTやCodexなどを使ってコードを生成した場合です。
Steamの公式説明では、開発作業を効率化するためのAIツールの使用そのものよりも、完成したゲームに含まれ、プレイヤーが利用するAI生成コンテンツに重点が置かれています。
そのため、AIをコーディングの補助として使用したことと、AIで生成した画像や文章などをゲームに組み込んだことは区別して考える必要があります。
ただし、AIにコードを書いてもらった場合でも、開発者による動作確認や不具合の修正は必要です。AIが生成したコードが必ず正しく動作するとは限りません。
公式情報:Steamworks Content Survey
itch.ioでAIゲームを販売する場合のルール
itch.ioは、個人開発者や小規模チームがゲームを公開・販売できるプラットフォームです。無料ゲームだけでなく、有料ゲームやゲーム制作素材なども公開できます。
itch.ioでも、AI生成コンテンツの利用そのものが全面的に禁止されているわけではありません。ただし、AI生成コンテンツを含むプロジェクトには、適切な情報開示が求められています。
AI Disclosureとは?
itch.ioには「Generative AI disclosure」という項目があります。これは、プロジェクトに生成AIによるコンテンツが含まれているかどうかを申告するための機能です。
AI生成コンテンツが含まれる場合は、種類に応じて分類します。
主な分類は以下のとおりです。
- Graphics:画像やグラフィック
- Sound:音楽や効果音
- Text & Dialog:文章や会話
- Code:プログラムコード
例えば、AIで生成したキャラクター画像を使ったゲームなら、Graphicsが関係します。AIによって生成したコードを使用している場合は、Codeの分類も確認する必要があります。
特に、itch.ioでゲーム素材を公開する場合は、AI生成コンテンツの申告が厳格に求められています。申告が不適切な場合、素材が検索や一覧に表示されなくなる可能性があります。
AIで大量生成したゲームにも注意
itch.ioの品質ガイドラインでは、AIなどによって大量生成されたコンテンツについても注意が必要です。
例えば、ゲーム内容をほとんど変更せず、AI画像だけを入れ替えたゲームを大量に公開する行為は、問題になる可能性があります。
また、人間による工夫がほとんどなく、AIや自動処理によって大量に作られたプロジェクトも、検索結果などから除外される場合があります。
重要なのは、AIを使ったかどうかだけではありません。ゲームとして独自の価値があり、プレイヤーにとって楽しめる作品になっているかどうかも大切です。
公式情報:
AIで生成したゲーム素材は商用利用できる?
AIゲーム開発で特に注意したいのが、画像・音楽・音声などの素材です。
例えば、画像生成AIを使えば、短時間でキャラクターや背景を作成できることがあります。しかし、生成できたからといって、必ず商用利用が認められているとは限りません。
AIツールの利用規約を確認する
AIサービスによって利用条件は異なります。同じサービスでも、無料プランと有料プランで使用できる機能やライセンス条件が異なる場合があります。
確認したい項目は次のとおりです。
- 生成物を商用利用できるか
- 無料プランでも商用利用が認められているか
- 生成物の使用に制限がないか
- 他の素材やモデルに追加のライセンス条件がないか
- クレジット表記などが必要か
特に画像生成AIでは、使用するモデルや追加学習データ、外部素材などにも条件が付いている場合があります。
AIサービス本体の規約だけでなく、利用したモデルや素材の条件も確認しましょう。
AI生成物と著作権の問題
AIで作成した画像や音楽には、著作権などに関する問題が生じる場合があります。
例えば、既存の有名キャラクターに非常によく似た画像や、他人の著作物を無断で利用したようなコンテンツには注意が必要です。
また、AI生成物に著作権が成立するかどうかは、国や制作過程、人間による創作的な関与などによって判断が異なります。
AI生成物を使用できるという契約上の許可と、その生成物に対する著作権を自分が保有していることは、必ずしも同じ意味ではありません。
ゲーム販売を予定している場合は、使用したAIツール、モデル、素材の出所や利用条件を記録しておくと管理しやすくなります。
AIで作ったゲームは実際に売れるのか?
ここまで、AIゲームを販売するためのルールについて説明しました。しかし、もう一つ気になるのが「販売できるとして、本当に売れるのか?」という点です。
結論として、AIで開発したゲームにも売上を得る機会はありますが、AIを使っただけでゲームが売れるわけではありません。
ゲームの売上には、さまざまな要素が関係します。
1. ゲームの面白さ
まず重要なのは、ゲームそのものの内容です。
操作がわかりやすいか、プレイヤーが楽しめる仕組みになっているか、繰り返し遊びたくなる要素があるかなどを考える必要があります。
AIを使えば開発作業を効率化できる可能性がありますが、ゲームの面白さまで自動的に保証されるわけではありません。
2. ゲームの完成度
AIによってプログラムや素材を効率よく制作できたとしても、ゲーム全体の品質を確認する必要があります。
例えば、次のような問題があるゲームは、購入後の満足度が下がる可能性があります。
- ゲームが頻繁にクラッシュする
- 操作方法がわかりにくい
- UIの文字が読みにくい
- セーブデータが正しく保存されない
- ゲームバランスが極端に悪い
AIにコードを書いてもらった場合でも、実際にゲームを動かして検証することが重要です。
また、PCゲームの場合は画面解像度や操作方法、スマートフォン向けゲームの場合は端末ごとの表示や動作なども確認しましょう。
3. 販売ページの魅力
ゲームを販売するときは、ストアページも重要です。
ゲームの内容が伝わる説明文やスクリーンショット、紹介動画などを用意しましょう。特に、最初に目に入る画像や説明文で、どのようなゲームなのかがわかることが大切です。
さらに、ゲームの特徴に合った価格設定や、公開前の宣伝も考える必要があります。
AIでゲームを完成させることだけでなく、プレイヤーに作品を知ってもらうための準備も重要です。
初心者がAIゲームを販売するならSteamとitch.ioのどちらがよい?
初めてゲームを販売する場合、Steamとitch.ioのどちらを利用すればよいのでしょうか。
それぞれの特徴を簡単に比較してみましょう。
| 比較項目 | Steam | itch.io |
|---|---|---|
| 主な用途 | PCゲームの販売 | インディーゲーム・素材などの公開、販売 |
| 初期登録費用 | 原則1作品あたり100米ドル | 通常、公開時の一律登録料なし |
| AI生成物への対応 | Content Surveyによる申告 | AI Disclosureによる申告 |
| 公開手続き | 審査や所定の手続きが必要 | 比較的簡単に公開できる |
| 初心者の試作品公開 | 手続きの負担が大きめ | 試しやすい |
Steamの100米ドルの費用はSteam Direct Feeと呼ばれ、作品ごとに必要です。対象作品のSteamでの調整後総収益が1,000米ドル以上になると、この費用を回収できる仕組みがあります。
Steamでは、初めて作品を公開する際の待機期間や、公開予定ページを一定期間表示するなどの条件もあります。
一方、itch.ioは比較的手軽にゲームを公開できるため、小規模な作品を公開して反応を確かめたい場合にも向いています。
ただし、どちらのプラットフォームを使っても、自動的に売上が発生するわけではありません。
初めてゲームを公開する場合は、itch.ioで小さな作品を公開して経験を積み、その後Steamでの販売に挑戦するという方法も考えられます。
AIゲームを販売する前のチェックリスト
AIを使ってゲームを制作し、販売する場合は、公開前に以下の項目を確認することをおすすめします。
- 使用したAIツールの商用利用条件を確認した
- AIで生成した画像・音楽・音声などの利用条件を確認した
- 使用しているモデルや外部素材のライセンスを確認した
- 他人の著作権や商標などを侵害していないか確認した
- ゲーム内に含まれるAI生成コンテンツを把握した
- Steamやitch.ioのAI申告ルールを確認した
- ゲームの動作テストとバグ修正を行った
- ゲームの説明文やスクリーンショットを準備した
- 販売価格や必要な費用を検討した
これらを確認することで、公開後のトラブルを減らすことにつながります。
特にAI生成素材については、制作してから時間が経つと、どのサービスやモデルを使用したのかわからなくなることもあります。ゲーム制作中から使用した素材やツールを記録しておくと便利です。
まとめ:AIで作ったゲームも販売できるが、準備は必要
今回は、AIで制作したゲームをSteamやitch.ioで販売できるのかについて解説しました。
重要なポイントを振り返ります。
- AIを使ったゲームの販売は一律に禁止されていない
- SteamではAI生成コンテンツの適切な申告が必要
- itch.ioでもAI生成コンテンツの開示が求められる
- AI素材の商用利用条件や権利確認が重要
- AIを使えば必ずゲームが売れるわけではない
- ゲームの品質、面白さ、販売方法も重要
AIは、これまで専門的な知識や多くの時間が必要だったゲーム開発を支援してくれる便利な技術です。
しかし、完成したゲームを確認し、品質を高め、責任を持って公開することは開発者自身の大切な役割です。
最初から大規模なゲームを作るのではなく、小さなゲームを完成させ、公開まで経験してみるのもよい方法でしょう。
AIゲーム制作ラボでは、これからもAIを活用したゲーム開発方法や、おすすめツールの比較、ゲーム販売・収益化に関する情報を紹介していきます。
参考資料
- Steamworks Documentation:Content Survey
- Steamworks:Steam Direct
- itch.io:Content Creator Quality Guidelines
- itch.io:Generative AI Disclosure Tagging
※本記事は2026年10月26日時点で確認できる公式情報をもとに作成しています。各サービスの利用規約や公開ルールは変更される場合があります。販売前には必ず最新の公式情報をご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律相談ではありません。

